就労継続支援A型は、利用する期間に制限はありません。
しかし、就労継続支援A型は原則、18歳~64歳までの障がい・難病をもっている方が利用対象になるので、年齢によっては利用できなくなる場合があります。
そこで
「65歳になっても就労継続支援A型で働きたい。どうすればいい?」
「65歳でも就労継続支援A型を利用できる要件ってある?」
「就労継続支援A型以外にも、他に利用できる支援制度はあるのか」
などの疑問や不安を抱いた方に向けて
- 65歳以上の方が就労継続支援A型を利用できる要件
- 就労継続支援A型で働いている65歳以上の利用者の割合
- 65歳以上でも利用できる他の支援制度
などについて解説しています。
少しでも参考になれば幸いです。
65歳以上でも就労継続支援A型を利用できる要件
就労継続支援A型は、原則利用できる方は64歳までになっています。ただし、要件を満たしていれば、65歳以上でも利用できる場合があります。
厚生労働省によると、就労継続支援A型の対象者は
■ 通常の事業所に雇用される事が困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者
※ 65歳に達する前5年間障害福祉サービスの支給決定を受けていた者で、65歳に達する前日において就労継続支援A型の支給決定を受けていた者は当該サービスについて引き続き利用することが可能。
となっています。
65歳以上になっても就労継続支援A型を利用したいと考えている方は、ご自身がこの要件に当てはまるかどうか確認したり、支援員の方に一度聞いてみたりしてください。
ただし、要件を満たしていても、自治体の判断で利用できない場合や、他の支援制度を勧められることもあります。利用を断られる可能性も念頭に置いておきましょう。
就労継続支援A型で働いている65歳以上の割合
就労継続支援A型で働いている65歳以上の割合は、以下のようになります。
令和3年4月(国保連データより)
就労継続支援A型 1,606 2.1%
就労継続支援B型 24,224 8.3%
このデータから、全国で1606人、1県あたり約34人の方が65歳以上でも就労継続支援A型で働いていることが分かります。
ただし、65歳以上から新しく雇用契約を結ぶことはできないので、この数字はあくまで継続している方の人数になります。
65歳以上でも利用できる他の支援制度
就労継続支援A型以外にも、65歳以上の方が利用できる福祉サービスがあります。ご自身の障がいや体調に合った機関を利用していきましょう。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、利用者の年齢制限がありません。よって、A型からB型に変える選択肢もあります。上記の表のデータにもありましたが、就労継続支援B型を利用されている65歳以上の方は約24,000人いるので、A型よりも身近な年代の知り合いができる可能性があります。
近年は様々な作業を行っている就労継続支援B型もあるので、ご自身に合った事業所も見つけやすくなっています。
詳しくは、以下の記事でも解説しています。興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
障害者の手作りクッキーを製造販売している作業所33選【A型・B型事業所】
【障害者のパン屋さん】パン作りができる作業所全国40か所を一挙紹介
全国40選!プログラミング・デザイン系A型事業所【就労継続支援|作業所】
ただ、就労継続支援B型は雇用契約を結ばないので、最低賃金は保証されません。作業の報酬も工賃で払われるので、金銭面で就労継続支援A型を選んでいる方には、かなりの痛手になる場合もあります。
厚生労働省によると、令和4年度の就労継続支援B型の平均工賃は、月額17,031円です。
就労継続支援A型の平均工賃(賃金)は、月額83,551 円なので、どうしても差額は大きくなります。
就労継続支援B型に通うメリット・デメリットは様々あります。ご自身に合うかどうか、一度検討してみるのもいいでしょう。
共生型サービス
今までは、障がい者の方が65歳以上になると、障害福祉制度から介護保険制度に切り替わり、様々な福祉サービスが利用できなくなってしまう状態でした。
長年利用してきた事業所に通えなくなることは、環境も変わり、精神的にも良くありません。
そんな利用者の不便を解消するために、2018年に生まれたのが「共生型サービス」です。
共生型サービスとは、
- 訪問系サービス
- デイサービス
- ホームヘルプサービス
- ショートステイ
などの、障害福祉サービスと介護保険サービスの共通している分野を、条件を満たしていれば利用できる制度です、
ただ、まだ新しい分野ではあるので、自治体によっては上手く連携が取れていなかったり、そもそも共生型サービスが普及していなかったりなどの問題もあります。
興味のある方は、まずは身近なケアマネージャーなど、詳しい人に話を聞いてみましょう。
まとめ
- 65歳以上でも、要件を満たしていれば、就労継続支援A型を利用できる可能性がある。ただし、自治体の判断で断られる場合もあるので注意が必要
- 就労継続支援A型で働いている65歳以上の割合は約2%
- 65歳以上でも、利用者の年齢制限がない就労継続支援B型や、共生型サービスなどの支援制度を利用できる場合がある
この記事では、65歳以上でも就労継続支援A型を利用できる要件、就労継続支援A型で働いている65歳以上の割合、他に利用できる支援制度について解説してきました。
65歳以上になると、今まで長年利用していた障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替えを求められ利用できなくなる、いわゆる「65歳の壁」と呼ばれている制度があります。
ただし、自治体によっては、65歳以上でも障害福祉サービスを継続できる場合もあります。
仮に、就労継続支援A型で働けなくなったあと、家から出る用事がなくなってしまうとなると、引きこもりの状態になってしまったり、他者との交流がなくなったりなど、肉体的にも精神的にも良くありません。
ご自身の年齢と相談しながら、少しずつ準備をしていきましょう。