就労継続支援A型

就労継続支援A型は在宅で勤務できる?在宅ワークのメリット・デメリットを解説

障がいのある方にとって、毎日の通勤は大きな負担になることがあります。

就労継続支援A型の利用を検討している方の中にも、体調の都合や精神的な理由から在宅での勤務を望む方は少なくありません。

この記事を読んでいるあなたも、

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「毎日通勤する体力がないので、家で行える仕事がしたい。」

「他人がいると、視線が気になって集中できない……。」

「自宅で自分のペースで仕事を進めたい。」

とお考えではありませんか?

一部の就労継続支援A型事業所では、在宅ワークによる支援を提供しており、自宅にいながら働くことができます。

在宅ワークには多くの利点があります。うまく活用できれば、通勤の負担が減るだけでなく、仕事で自分の能力を最大限発揮することができるでしょう。

ただし、必ずしも在宅ワークに向いている方ばかりではありません。在宅ワークのメリットやデメリット、仕事内容などを知り、自分に合った働き方を選択することが重要です。

  • 就労継続支援A型で在宅ワークを行う際の条件
  • 就労継続支援A型での在宅ワークの業務内容
  • 在宅勤務のメリット・デメリット
  • 将来的に一般就労を目指せるのか

について解説していきます。

「そもそも就労継続支援A型って何?」という方は、以下の記事をご覧ください。

⇒就労継続支援A型事業所の労働時間・社会保険を解説。有給はもらえる?
⇒就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いを分かりやすく解説

就労継続支援A型で在宅ワークを行う条件は?

自宅のパソコンで仕事する女性

就労継続支援A型事業所のうち約2割の施設では、在宅での支援が提供されています。

就労継続支援の在宅利用にはガイドラインが設けられており、在宅でも利用できる事業所は、このガイドラインに沿って運営されています。

ガイドラインによれば在宅ワークの対象となるのは、

  • 在宅ワークの利用を希望している方
  • 在宅ワークによる支援効果が認められると自治体が判断した方

以上の条件を満たした方です。

参照:就労系障害福祉サービスにおける在宅でのサービス利用にかかるガイドライン|厚生労働省

また、在宅ワークの利用には、複数の要件が定められています。そのうち、利用する方に直接関わるものを見ていきましょう。

職員と1日2回以上連絡を取る

就労継続支援における在宅ワークでは、最低1日2回以上、事業所職員と利用者との間で連絡を行う必要があります。

基本的には業務の開始時と終了時、業務内容の指示や報告を行う際などに連絡することになるでしょう。在宅勤務を行うには、このときに職員と適切なやり取りができることが必要です。

連絡方法は事業所によって異なりますが、チャットツールやメールでのやり取りの他、ビデオ通話などが利用されます。

月に1回、職員の訪問を受けるか、通所する必要がある

ガイドラインでは「月に1日、職場の職員が自宅へ訪問するか、利用者が事業所へ通所し、目標の達成度評価などを行うことが必要」と定められています。

そのため、立地的な問題などから月に1度でも職員の訪問や事業所への通所が難しい場合、在宅ワークによる支援は受けられない可能性があります。

就労継続支援A型における在宅ワークの業務内容は?

就労継続支援A型で行う在宅ワークの内容は、PCでの業務が多い傾向にあります。中には軽作業など、手軽に始められそうな業務もあるため、自分ができそうな業務を行っている事業所を選ぶと良いでしょう。

業務に必要なPCなどの道具は貸出される場合が多いですが、事業所によって異なるため、問い合わせてみるといいでしょう。

具体的な仕事内容の一例を紹介していきます。

データ入力

PCを利用した「データ入力」は、在宅ワークとしては最もメジャーな業務のひとつです。

一口に「データ入力」と言っても、企業の顧客情報や売上の記録、アンケートの回答など、多岐に渡ります。求められる書式に合わせてさまざまなデータを入力していくことが主な業務内容です。

最低限、PCの入力ができることが条件になりますが、WordやExcelが使用できれば簡単にできるので、手軽に始められることが最大の長所でしょう。特に、集中力があって黙々と作業することが好きな方に向いています。

プログラミング・Webデザイン

プログラミングやWebデザインは、在宅ワークと相性がよく需要も高いため、人気がある仕事です。ただし専門的な知識が求められるため、一から始めるにはハードルが高い業務と言えるでしょう。

つちかった知識やスキルは一般就労を目指す際にも活かすことができます。PCスキルに自信がある方は挑戦してみるといいでしょう。

Webライティング

Webサイトの記事を執筆するライティング業務も、在宅で行われることが多い仕事です。作成する記事は、企業のホームページに掲載するものから「まとめサイト」の記事まで多岐に渡ります。

ある程度の文章力は必要になりますが、専門的なスキルなどは必要ないため、比較的始めやすい業務です。

商品の組み立て・梱包・検品など

在宅でPCを使わない業務としては、商品の組み立てや梱包、検品などの作業を在宅で行うことがあります。

多くの場合はノルマとなる数が定められており、自宅で組み立てなどの作業を行います。最終的に完成したものを職員に直接渡すか郵送し、納品するといった流れになるでしょう。

これらの業務を在宅で行う場合、「出来高制」など内職のような支払い形態になることが多いです。ただし、A型事業所の雇用形態で行う事業所はあまりありません。

就労継続支援A型を在宅で利用するメリット・デメリットは?

在宅ワークには数多くの魅力がありますが、必ずしも良い点ばかりではありません。

在宅で働くことが自分に合っているのか判断するために、どんなメリット・デメリットがあるか見ていきましょう。

メリット

通勤が不要

在宅ワークの最大の利点は「通勤しなくていい」ことです。移動時間がなくなるため、自由に使える時間を増やすことができます。

また、通勤で体力を消耗することもありません。人混みが多い所や閉所が苦手など、障がい特性によって通勤することが負担になりやすい方にとって、特に大きなメリットになり得ます。

自分の特性に合った環境で働ける

「自分の特性に合った環境を用意して働くことができる」ことも大きなメリットです。自分にとって最も楽な格好、慣れた環境で働くことで、能力が発揮しやすくなります。

さらに、自宅では「周囲の話し声」や「電話の呼び出し音」などの気が散る要因が減るため、より集中して働くことができるでしょう。

コミュニケーションが苦手でも働きやすい

在宅ワークでは、仕事に関する連絡の多くが、チャットなど文章を通して行われることが多いです。

口頭でのやり取りと比べて、自分の考えを整地してから伝えられるため、対面でのコミュニケーションが苦手な方でもストレスを感じづらくなるでしょう。

デメリット

オンオフの切り替えが難しい

在宅ワークでは誰にも監視されない状況で勤務することになるので、人によっては緊張感がなくなり、集中できなくなる可能性があります。

また、自己管理が苦手な方は、時間管理が上手くできず、プライベートと仕事の区別が曖昧になり、オンオフの切り替えができずに苦しむことがあるかもしれません。

集中できない時は「耳栓を使う」「リラックスできる音楽を流す」といった対策が有効です。自己管理が難しい場合は「タスク管理アプリを使用する」など、状況に応じた工夫が必要となるでしょう。

コミュニケーションが取りづらくなる

仕事仲間や事業所の職員と直接対面してやり取りができないため、コミュニケーションが取りづらくなり、仕事に支障が出ることがあります。

例えば、「質問をしてもすぐには返答がもらえず、分からないことを自分で解決しなくてはいけなくなった」といったケースが考えられます。

しかし、在宅ワークでも「ビデオ通話など即時性の高いツールを使用する」「週に1回は通所する」などの対策で対話の機会を増やすことが可能です。コミュニケーションが不足していると感じた際は、これらが実現できないかを含めて支援者に相談してみましょう。

セキュリティ上のリスクが高まる

在宅ワークを行うために、事業所から機材を借りて持ち帰るなど、PCを社外に持ち出す場合があります。そのため、個人情報等を扱う業務では、情報漏洩ろうえいやマルウェアの感染などセキュリティ上のリスクが高まります。

※マルウェアコンピューターや利用者に不利益をもたらす目的の、悪意あるソフトウェアの総称

「紛失防止のためPCの管理を徹底する」「セキュリティソフトを利用してウイルスおよびマルウェアへの対策を行う」などの対応が必要となるでしょう。

就労継続支援A型での在宅ワークから一般企業での就職を目指せる?

「最終的には一般就労を目指したい」と考えている方にとっては、在宅ワークからでも一般就労できるのか、は気になるところでしょう。

PwCコンサルティング合同会社が実施したアンケート調査によると、在宅ワークにより「通所のみで支援するより負担が軽く、効果的に活動・支援できている」と回答したA型事業所は5割近くに上ります。

中には「複数の利用者の就職が内定した」といった回答もあります。利用者によっては、在宅ワークでより効果的な訓練を積み、一般就労に結びつけることができるでしょう。

一方で、3割前後のA型事業所は「生活・就業リズムが崩れ影響が出ている」「就労や活動に対するモチベーションが低下している」と回答しています。

自己管理が苦手な方など、利用者によっては在宅による支援効果が薄くなり、一般就労から遠ざかってしまうケースもあるでしょう。

冒頭でもお話しした通り、在宅勤務が向いている方ばかりではありません。一般就労を目指したい方はメリットやデメリットを把握し、自分に合った支援を選択することが重要です。

まとめ|在宅でも就労継続支援A型に勤務することはできる

  • 全国にあるA型事業所の約2割の事業所では在宅での支援を利用できる。
  • A型事業所を在宅で利用できるのは、「在宅ワークの利用を希望している方」で「在宅ワークによる支援効果が認められると自治体が判断した方」の両方を満たす方が対象。ただし、「職員と1日2回以上の連絡」「月に1度、職員の訪問を受けるか、通所を行う」ことが必要。
  • 在宅勤務のメリットとしては「通勤が不要」「自分の特性に合った環境で働ける」「コミュニケーションが苦手でも働きやすい」などが挙げられる。
  • デメリットとしては、「オンオフの切り替えが難しい」「すぐに返答が来るとは限らないためコミュニケーションが取りづらくなる」「セキュリティ上のリスクが高くなる」などがある。

在宅ワークには数多くの魅力があります。働きたい気持ちはあっても一歩が踏み出せない方の中には、「在宅で利用できるなら挑戦してみたい」と考える方がいらっしゃるでしょう。

この記事を読んで「在宅で働いてみたい」と思った方は、まずは在宅勤務での利用が可能か、利用を検討している事業所に問い合わせてみましょう。

あなたに合った働き方を実現するための参考としてもらえましたら幸いです。

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