就労継続支援A型

就労継続支援A型はどんな人が働いている?男女比や年齢制限、定年についても解説

就労継続支援A型について、どんな方が働いているか知っていますか?

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「就労継続支援A型って、どんな障がいや持病のある人が働いているのかな?」
「就労継続支援A型で働いてみたいけれど、定年や年齢制限はあるのかな?」

など、A型事業所について知りたい、A型事業所で働いてみたい、と考えている方へ。

就労継続支援A型の利用者については情報が少ないので、気になる方も多いかと思います。

  • 就労継続支援A型の対象者について
  • A型事業所の年齢制限や定年
  • A型事業所利用者の年齢や男女比などの属性
  • 利用者の声

について、詳しく解説していきたいと思います。

就労継続支援A型事業所ではどんな人が就労しているの?

WHO どんな人
就労継続支援A型は、雇用契約を結び、給与をもらいながら働くことのできる「障害福祉サービス」のひとつです。

「障がいや難病がある方」や「働きづらさを抱えている方」などが働いています。

A型事業所では、主に「障がいや難病のある方」への支援を行っていますが、近年では一部地域で新たに「ダイバーシティ就労支援」という「働きづらさを抱えている方」への支援も始まり、さまざまな困難を抱えている方が多様な支援を受けながら働いています。

就労継続支援A型事業所は幅広く支援活動を行っているため、一般企業と比較すると従業員の障がいや病気など、心身の状態に対して理解が深いことが特徴です。

そのため、心身の状態に波がある方も業務の内容やスピードに配慮を受けながら働くことができる環境となっています。

勤務時間は事業所によって異なりますが、1日4~5時間と短時間勤務の事業所が多く、疲れやすい方も体調に合わせて無理なく働くことができます。

就労継続支援A型を利用する場合、基本的には週5で出勤することが望ましいですが、事業所によって出社などの利用要件は異なるため、働いてみたい事業所があれば相談して話を聞いたり、見学して雰囲気を確認したりしてみましょう。

また、かかりつけのメンタルクリニックやお住まいの地域にある福祉課などで、今の自分にはどのような就労支援を受けるのが適切なのか、相談するのもよいでしょう。

⇒就労継続支援A型事業所の労働時間・社会保険を解説。有給はもらえる?

A型事業所を利用できる対象者は?

就労継続支援A型を利用できる方は、以下のような一般企業等での就労が困難な方です。

  • 就労移行支援事業所を利用したが、企業への就職に結びつかなかった
  • 特別支援学校を卒業してから就職活動をしたが、就職に結びつかなかった
  • 一般企業で就職していたが退職しており、現在は雇用関係の状態にない

就労継続支援A型はこのような一般就労が困難な方のために、就労の場を提供する目的で運営されています。

利用している方の中には、一般就労を目標として、スキルアップやステップアップを目指し、事業所で支援を受けながら働いている方もいます。

令和元年度の調査結果では25.1%の方が一般就労へ移行しています。

⇒A型事業所から一般就労できる?割合、流れなど気になる所を解説

就労継続支援A型を利用している方の障がいについて

就労継続支援A型の利用者は、一般企業等での就労が困難な方を利用対象としている性質上、ほとんどの方に障がいがあります。

令和3年度の全国の就労継続A型における調査では、このような割合になっています。

  • 精神障害 57.5%
    うつ病、双極性障害、統合失調症、てんかん、適応障害など
  • 知的障害 34.7%
    知的能力障害
  • 身体障害 5.2%
    視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由、内部障害
  • 発達障害・その他の障害 2.7%
    ASD:自閉スペクトラム症
    ADHD:注意欠如・多動症
    LD:学習障害
    難病:神経・筋疾患、消化器系疾患、循環器系疾患など障害者総合支援法の対象疾病として指定されている疾病に該当するものなど

利用者の障害種別割合

参照:就労継続支援A型事業における就労継続及び一般就労への移行支援の実態把握に関する調査研究 P19

障害者手帳を持っている方の割合

就労継続支援A型を含む障害福祉サービスの利用者のうち、各障害者手帳を持っている割合はこのようになっています。

障害者手帳の種類 全体における割合
身体障害者手帳 24.8%
精神障害者保健福祉手帳 25.8%
療育手帳 58.2%

参照:障害福祉サービスの利用実態調査報告報告書 P12|令和2年3月

A型事業所は障害者手帳がなくても利用できる?

就労継続支援A型は障害者手帳がなくても利用できます。

ただし、就労継続支援A型などの福祉サービスを利用するためには「障害福祉サービス受給者証」が必要です。

「障害福祉サービス受給者証」は医師の診断書や自立支援医療受給者証などを、お住まいの各市区町村に設置されている障がい福祉の担当部署に提出し、障がいや病気で福祉を受ける必要があることを証明できれば取得が可能です。

かかりつけの病院や利用を検討しているA型事業所に相談してみましょう。

障害者手帳を持っていない場合の就労継続支援A型の利用方法について、詳しくは以下のリンクをご覧ください。

⇒就労継続支援A型・B型は障害者手帳なしで利用できる?利用条件を徹底解説

また、「ダイバーシティ就労支援」として就労継続支援A型を利用する場合は、「障害福祉サービス受給者証」は必要ありません。「ダイバーシティ就労支援」については、次の項目で詳しくご紹介していきます。

ダイバーシティ就労支援について

冒頭でも少し触れた「ダイバーシティ就労支援」とは、さまざまな要因で働きづらさを抱えている方を対象とした新しい取り組みです。「障害者手帳を持っていない方」や「障害福祉サービス受給者証の取得をしていない方」でも、各地にあるA型事業所のノウハウを生かした就労支援を受けられます。

ひきこもりや就労にブランクがある方、子育て中の方など、今までの支援の枠組みから外れていた「多様な働きづらさ」を抱える多くの方に裾野を拡げた就労支援制度です。

現在、岐阜県岐阜市、福岡県、千葉県、愛知県豊田市の一部地域でモデル事業の実証実験が行われています。ダイバーシティ就労支援を行う地域は今後増える可能性があります。

就労継続支援A型事業所や就労移行支援事業所を活動拠点として、新しいかたちの多様な支援が始まっています。

ダイバーシティ就労支援の就労形態は事業所によって異なり、通所が必須の事業所もあれば、リモートワークを選べる事業所もあり、支援内容や就労時間なども事業所ごとに定められています。

ぎふ就労支援センターもダイバーシティ就労支援拠点として参加しており、さまざまな理由で働きづらさを感じている方々がリモートワークを活用し、週5日の1日2.5時間から自分に合った働き方をスタートさせています。

ちなみに、現在のダイバーシティ就労支援制度は「障害者手帳を持っていないが働きづらさがある方」が対象となっているため、すでに手帳をお持ちの方は就労継続支援A型での就労が可能です。障害者手帳がある、という方はA型事業所の利用をご検討ください。

「WORK! DIVERSITY」プロジェクト|日本財団
WORK!DIVERSITY PROJECT in岐阜|一般社団法人サステイナブル・サポート

就労継続支援A型の年齢制限

就労継続支援A型の利用には年齢制限があります。

申し込み時点で、原則18歳以上65歳未満までの方が対象です。

利用期間に制限はありません。

就労継続支援A型の定年

就労継続支援A型の利用に定年はありません。

65歳に達する前日までに就労継続支援A型の利用者となって要件を満たしていれば、65歳以降も継続して利用することができます。

就労継続支援A型利用者の属性

実際にA型事業所で働く方はどのような人が多いのでしょうか。

グラフや割合とともに見ていきましょう。

年齢層

以下のグラフより、就労継続支援A型を利用している年齢層は、全体では35~45歳までの割合が多いことが分かります。

35~45歳までが61%を占めています。

利用者の年齢層

参照:就労継続支援A型事業所における就労継続及び一般就労への移行支援の実態把握に関する調査研究 P17

男女比

『障害福祉サービスの利用実態調査報告書』によると、就労継続支援A型を含む障害福祉サービス利用者の男女割合は、男性が59.8%で、女性が40.1%です。

全体での男女比はおよそ6:4となっていますが、男女比は事業所により異なります。

参考:障害福祉サービスの利用実態調査報告書 P6

就労継続支援A型の平均利用年数

以下の表・グラフを見ると、5年以上利用している人が全体の約1/4を占めています。

就労継続支援A型は、長く在籍している方も多いことが分かりますね。

就労継続支援A型の
平均利用年数
全体における割合
1年まで 9.1%
2年まで 14.3%
3年まで 19.6%
4年まで 17.4%
5年まで 14.8%
5年以上 24.8%

就労継続支援A型の平均利用年数割合

参照:就労継続支援A型事業における就労継続及び一般就労への移行支援の実態把握に関する調査研究 P16

A型事業所を利用する前の所属先

現在、就労継続支援A型を利用している方が、A型事業所を利用する前の所属先として

  • 一般就労
  • 他の就労継続支援A型
  • 他の就労継続支援B型
  • 特別支援学校
  • 在宅
  • 就労移行支援
  • 高等学校・専門学校・大学等
  • デイケア
  • その他

などがあります。

就労継続支援A型を利用する前は、「一般就労」をしていた方が最も多く、次に「他の就労継続支援A型」に所属していた方が多い結果となっています。

就労継続支援A型を利用する前の所属先

これらのデータは全国のデータを集計したもののため、実際の割合は事業所によって異なる場合があります。

就労継続支援A型で働いている利用者の声

実際に就労継続支援A型で働いている利用者の方の声をご紹介します。

クローン病 20代/男性

私はクローン病という小腸と大腸に炎症や潰瘍ができる難病があります。クローン病の症状は腹痛・下痢・下血・発熱・腹部腫瘤・体重減少・全身倦怠感・貧血などがあります。国内のクローン病の患者数は平成25年度には39,799人、人口10万人あたり27人程度です。
私は見た目が健康であるのと性格が明るいため、初対面の方は私が病気であることに驚かれます。
現在はプログラミングを学びながらWebデザインやライティング(文章作成)の仕事に取り組んでいます。ぎふ就労支援センターで働く様になって病気を上手くコントロールしながら生活ができるようになったので一般就労を考えています。

引用:利用者の声|ぎふ就労支援センター

うつ病 30代/女性

私はうつ病という病気による障害があります。眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、脳の機能障害が起きている状態です。脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。日本では、100人に3~7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります。
私は読書や文章を描く事が好きなので治療を続けながらWEBライターの仕事に取り組んで、いろいろなジャンルの記事を書いています。無理をせず仕事を楽しみながら、お昼休憩時には事業所の近くにはいろんなお店があるので時々外食を楽しんでいます。

引用:利用者の声|ぎふ就労支援センター

⇒就労継続支援A型はつらい?楽しい?10の体験談を集めました
⇒作業所(A型)に通う統合失調症患者の体験談【ぎふ就労支援センター】

まとめ|就労継続支援A型の対象者について

  • A型事業所では障がいや難病があり、一般企業では働きづらい方が働いている。また、一部地域で「ダイバーシティ就労支援」という、障がい以外のさまざまな要因で働きづらさを抱えている方に向けた支援も始まった。
  • 障害者手帳が無くても利用できるが、自治体から発行される「障害福祉サービス受給者証」が必要。
  • 就労継続支援A型の利用には年齢制限があり、原則、申し込み時点で18歳以上65歳未満の方が対象。利用期間の制限はない。一方、定年はなく、65歳に達する前日までに就労継続支援A型の利用者となり、要件を満たしていれば、65歳以降も継続して利用できる。
  • 就労継続支援A型を利用している年齢層は35~45歳までの割合が多い。また、全体の男女比としては、およそ6:4。ただし、年齢層や男女比、平均利用年数などの属性は、事業所によって異なる。

就労継続支援A型事業所では、多くの方が障がいや病気と向き合いながら、自立を目指して仕事に取り組んでいます。

「働きたいけれど働けない……。」と悩んでいる方は、就労継続支援A型で「継続して就労する力」を身につけてみませんか?

自信をもって未来に向けて行動していきましょう。

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