就労継続支援B型

就労継続支援B型(作業所)から一般就労を目指せるのか?その可能性と実態について解説

現在、就労継続支援B型事業所を利用している方、B型事業所をこれから利用しようか考えている方の中には、

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「B型事業所から一般就労できるの?」
「B型事務所からの一般就労は難しいって本当?」
「一般就労する前に、A型事業所や就労移行支援にステップアップするのはどうなんだろう?」

と疑問に思われている方もいることでしょう。

  • 就労継続支援B型から一般就労できる可能性
  • 就労継続支援B型から一般就労への移行率
  • 就労継続支援B型から一般就労するのが難しい理由
  • 就労継続支援A型事業所や就労移行支援にステップアップするという選択肢

について解説していきます。

就労継続支援B型(作業所)の基本情報

就労継続支援B型とは、障がいのある方が、一般企業に就職することに対して不安があったり、就職することが困難な場合に、雇用契約を結ばずに生産活動などの就労訓練を行うことができる就労支援サービスの一つです。

就労継続支援B型は事業所によって異なる、多様な支援が行われており、「就労継続支援B型」や「B型事業所」、「B型就労継続支援」、「作業所」などの呼び方があります。

利用対象者は下記のいずれかに当てはまる方です。

  • 就労経験があり、年齢や体力面で一般企業に雇用されるのが困難となった方
  • 50歳に達している、または障害基礎年金1級を受給している方
  • 1.及び2.に該当しない方で、就労移行支援事業者等による評価の結果、B型事業所で働くことが適切と判断された方

※特別支援学校などの卒業直後にB型事業所を利用することはできません。
まずは就労移行支援を利用し、一般就労が可能かアセスメントを経てから、B型事業所を利用することになります。

就労継続支援B型の利用には、一度就労するか、就労移行支援事業所を利用する必要があるなど、一定の条件が定められています。

また、就労継続支援B型事業所では雇用契約は結びません。

そのため、定年はなく、利用するための年齢制限もありません。

支払われる給与は「賃金」ではなく「工賃」と呼ばれ、ものづくりや作業に対する成果報酬として支払われます。

就労継続支援B型(作業所)から一般就労は可能なのか?

就労継続支援B型の利用対象になったからといって、その後、企業への一般就労ができない、という訳ではありません。

ただ、現在の障がいや症状、生活習慣などの状況を見返した際に、課題が残っている場合には、その課題を見直すところから始めましょう。

一般就労を目指す中で、焦って行動してしまうのはよくありません。

B型事業所での生活に慣れて、「一般就労」という目標が見えると、早く次のステップに進もうと焦ってしまい、無理をしてしまう方がいます。その結果、対象を崩し、状態が悪化することも十分にあり得ます。

焦るときこそ「急がば回れ」の考えで、無理のない範囲で着実に一般就労を目指していきましょう。

就労継続支援B型(作業所)から一般就労への移行率

就労継続支援B型の利用者数は、令和2年3月時点で約26.9万人です。

就労継続支援A型の利用者が約7.2万人、就労移行支援の利用者が約3.4万人であることを踏まえるとB型事業所の利用者がとても多いことがわかります。

就労移行支援B型から一般就労への移行率は以下の通りです。

※参考として就労継続支援A型と就労移行支援のデータも併せて記載しています。

平成29年

11.4%
就労継続支援
B型
23.3%
就労継続支援A型
48.3%
就労移行支援

平成30年

11.7%
就労継続支援
B型
22.7%
就労継続支援A型
52.9%
就労移行支援

令和元年

13.2%
就労継続支援
B型
25.1%
就労継続支援A型
54.7%
就労移行支援

このグラフから、就労継続支援B型事業所から一般就労へ移行する割合は、ほかの支援サービスより少ないことがわかります。しかし、特に減少傾向にあるわけではなく、ほぼ横ばいです。

どちらかというと、近年のデータでは移行率が上昇しており、就労継続支援B型の事業所でも一般就労に向けて力を入れた事業所が増加傾向にあることがうかがえます。

就労継続支援B型から一般就労が難しい理由3点

  1. 出戻り
    就労継続支援B型の作業所に長く通所していると、事業所のスタッフの方が優しく、福利厚生が手厚いため、その環境に慣れすぎてしまうことがあります。その状態で一般企業へ就労すると、会社に馴染むことができず、慣れたB型事業所へ出戻ってしまう方もいます。
  2. 作業所で満足してしまう
    作業所は一般企業とは異なり、規則や業務内容が複雑で厳しい、ということはありません。仮に作業ができない、作業をしない状態でも、一般企業での厳しい扱いや注意を受けることは少ないです。その環境や雰囲気に慣れてしまった方の中には、一般就労は考えず、生活リズムが守れなくなっているケースもあります。
  3. 単純作業のため、スキルが身につかない
    就労継続支援B型事業所(作業所)での作業内容は、事業所によって異なりますが、多くの事業所では軽作業を中心としているので、作業自体は単純なものが多いです。

    そのため、利用者が「スキルアップしたい。」「一般企業に就職したい。」と感じても、一般就労につながる実践的なスキルを習得する機会が少ないため、B型事業所から直接一般就労に結びつかないケースが考えられます。

「もっと技術を身につけたい!」「一般就労したい。」と考えているB型事業所利用者の方が取れる手段として、次のような方法があります。

就労継続支援A型・就労移行支援へのステップアップという選択

ステップ、手順

  • 「就労継続支援B型事業所にある程度通所できるようになった。」
  • 「体調が良くなって、安定して通えるようになってきた。」
  • 「働くことに自信が持てるようになった。」
  • 「まだ一般就労はハードルが高い……。」

などを考えている方には、「就労継続支援A型」や「就労移行支援」を利用する、という選択肢があります。

就労継続支援A型とは

就労継続支援A型では、事業所と雇用契約を結んで働きます。

一日あたりの勤務時間は比較的短い事業所がほとんどですが、一般企業での時短勤務に近い形式です。

仕事内容としては、パソコンへのデータ入力や商品梱包などの軽作業、飲食店でのホールスタッフなど、事業所によって多岐に渡ります。中には、Webサイト制作や動画編集を行っている事業所もあります。

一般企業とは異なり、体調面でのフォローが手厚いため、仕事をこなしながら、無理せず、着実にスキルを身につけていくことができます。

就労継続支援A型と就労継続支援B型の違いを以下にまとめました。

就労継続支援A型 就労継続支援B型
雇用契約 あり なし
給与

平均月収
賃金:あり
平均81,645円
(令和3年度時点)
工賃:あり
平均16,507円
(令和3年度時点)
年齢制限 原則18歳~65歳未満が対象 年齢制限はなし
※特別支援学校などの卒業直後にB型事業所を利用することはできない。
利用料 世帯の収入によって異なる 世帯の収入によって異なる
利用期間 制限なし 制限なし

参考:障害者の就労支援対策の状況|厚生労働省

就労継続支援A型について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
就労継続支援A型はどんな人が働いている?男女比や年齢制限、定年についても解説

就労移行支援とは

就労移行支援は、一般企業への就職を目的とした障害のある方が受けられる就労支援の一つです。ただし、あくまで訓練の場であるので、就労継続支援のように給与をもらうことはありません。

事業所へ通所しながら就職に必要なスキルを訓練し、面接対策や履歴書の添削などのサポートを受け、就職活動を行うことができます。事業所によっては障がい特性などについて学ぶこともあります。

【就労移行支援で受けられるサービス】
  1. 就労に向けたトレーニング
    定期的に就労移行支援事業所へ通所することで、生活リズムを整え、基礎体力の向上を目指します。また、就労に向けて必要な知識やスキルのプログラムを受けることで、就職活動の基礎を学びます。

    ・ビジネスマナー:職場での挨拶、身だしなみなど

    ・PCトレーニング:Officeソフト、基本情報処理など

    ・SST(ソーシャルスキルトレーニング):社会生活技能訓練

    ・グループワーク:コミュニケーションなど)

    など

  2. 職場見学・実習
    自分に合った業種や職種、職場環境などを知るために、「職場見学」や「職場実習」を行います。

    職場見学や実習の初日などは、就労移行支援事業所の職員に同行してもらえる場合もあります。

  3. 就職活動サポート
    就職活動のサポートとして、「履歴書などの書類の書き方」や「模擬面接を通した面接対策」などを行います。

    障がいをオープンにして就職活動をする際、障がいを説明する文書が必要な場合がありますが、書き方を1から教えてもらえるので、安心ですね。

  4. 職場定着支援
    就職が決まった後も就労移行支援を利用できます。入社後に困ったことなどの相談や企業へ環境調節依頼をしてもらうことができます。

    具体的な相談内容としては、就職先に慣れることができるか、職場に定着できているか、仕事や人間関係の悩み、生活リズムなどです。ほかにも相談したいことがあれば、気軽に相談できます。

就労継続支援B型から就労継続支援A型へ

就労継続支援A型は、B型と比べると高度な能力が必要とされる場合が多く、事業所によって仕事の内容はさまざまです。

また、

  • 雇用契約を結ぶ
  • 最低時給が保証される
  • 週5日通所が望ましい
  • アルバイト並みの就労スキルや体力が求められる

等の傾向があるため、B型事業所で規則正しい生活リズムを作ることができており、体調が安定している方や、一般就労を視野に入れた実践的スキルを身につけたいと感じている方は、利用している事業所の職員と相談し、A型事業所へのステップアップを検討してみても良いでしょう。

就労継続支援B型から就労移行支援へ

就労継続支援B型で、ある程度一般就労ができる、という自信がついた方は、就労継続支援A型ではなく、より実践的に就職活動に向けた支援を受けられる「就労移行支援」へステップアップしても良いでしょう。

就労移行支援では工賃は発生しませんが、ビジネスマナーやコミュニケーションの取り方などの訓練や、面接練習、セルフケアの方法など、一般就労に向けたトレーニングを行います。

就職後には、職場定着支援としてフォローやバックアップを受けることもできるので、安心ですね。

移行率の項目でも、就労継続支援B型から一般就労へ移行するより、就労継続支援A型や就労移行支援から一般就労へ移行する割合の方が多い傾向にありました。

B型事業所から一般就労へ移行しようとする前に、A型事業所や就労移行支援の利用を検討してみても良いかもしれません。

就労移行支援と就労継続支援A型・B型との違いについて、以下の記事で解説しています。

まとめ|就労継続支援B型(作業所)から一般就労は可能なのか?

  • 就労継続支援B型は、障がいのある方が一般企業への就職に対して不安がある場合や、一般企業への就職が困難な場合に、雇用契約を結ばず、生産活動などの就労と訓練ができる福祉支援サービス。
  • 就労継続支援B型から一般就労は可能。しかし、B型から一般就労へ移行する割合はほかの就労支援と比較しても少ない。ただ、近年移行率は増加傾向にあり、就労継続支援B型でも一般就労へ力を入れている事業所が増えていることが伺える。
  • 就労継続支援B型から一般就労への移行が難しい理由として、障がいや病気の状況、生活習慣が整っていない、就労に繋がるスキルが習得できていない、などがある。
  • B型事業所で生活リズムが整い、ある程度働くことに慣れてきたが、一般就労するには難しいと考えている方には、次のステップとして、「就労継続支援A型」か「就労移行支援」を利用する方法がある。

就労継続支援B型から一般就労を目指すことは決して不可能ではありません。しかし、無理をすることで体調を崩し、働けなくなってしまうことも十分に考えられます。

どんな人でも、早く就職したいと思うと焦ってしまったり、心が急いてしまったりしてしまいます。

急いで一般就労へ踏み出す前に一度、就労継続支援A型事業所や、就労移行支援事業所でステップアップをしてみてはどうでしょうか?

あなたが目指す就労への道の一助になれば幸いです。

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