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障害者職業能力開発校とは?職業訓練の「コースの種類」と「手当支給の対象者」について

あなたは、「障害者職業能力開発校」を知っていますか?

「障害者職業能力開発校」とは、障害のある方が職業訓練(ハロートレーニング)を受けることができる訓練校の1つです。

職業訓練を受けられる訓練機構は数多くありますが、そのうち、障害のある方が就職に向けて働くために必要なスキルを身に付けることができる訓練校となっており、障害の特性に合わせてコースを選び、必要な知識や技術を習得します。

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「軽作業をしていたけれど、PCスキルを身につけて事務の仕事がしたい。」

「職業訓練を受けたいけれど生活費が心配……。」

「手当を受け取りながら勉強したい……。」

そんな思いを抱えている方へ。

職業訓練で新しい仕事にチャレンジしてみませんか。

訓練期間は仲間がいることが励みになりますし、作業を通してコミュニケーションスキルを身につけることもできます。

  • 障害者職業能力開発校についての概要
  • コースの種類
  • 手当支給の対象者
  • 利用方法

などについて説明していきます。

障害者職業能力開発校とは?

職業訓練

冒頭でもお話ししましたが、「障害者職業能力開発校」は多数ある職業訓練校の中で、障害のある方が就労に必要な知識や技術を身に付けることができる訓練校のひとつです。そもそも職業訓練とは、主に就職に必要なスキル、知識を無料で習得することのできる公的制度です。

職業訓練は大きく分けると「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類に分かれており、「公共職業訓練」は、国や都道府県、民間教育訓練機関等によって実施されています。

「障害者職業能力開発校」は、障害のある方を対象とした「公共職業訓練」を受けられる訓練校なのです。

障害者職業能力開発校はどこにある?

「障害者職業能力開発校」は国と都道府県が設置している公的職業訓練施設です。

国立と県立があり、現在全国に19校あります。

  • 国立:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構運営 (2校)
    埼玉、岡山
  • 国立:都道府県運営 (11校)
    北海道、宮城、東京、神奈川、石川、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、鹿児島
  • 府県立:府県運営 (6校)
    青森、千葉、岐阜、静岡、京都、兵庫

発達障害でも学べる?コースの種類と内容

「障害者職業能力開発校」では障害の特性に合わせてコースを選ぶことができるので安心です。発達障害だけでなく、様々な障害のある方が学んでいます。

コースは主に以下のような種類があります。

  • 現場作業系(軽作業、製造、清掃)
  • 事務系(事務補助、一般事務)
  • IT系 (電子機器製造、プログラマ)
  • 設計系(機械設計、CADオペレーター)
  • クリエイティブ系(DTPオペレーター、Webデザイナー)

概ね3か月、6か月、1年のコースがあり、専門性の高いIT系では2年の期間が設けられている場合もあります。

コースの例

期間 コース名 障害 目指す職種
3か月 就業支援 精神・発達・知的 就業するための準備をする訓練科
6か月 職域開発 精神・発達 事務補助
販売業務
6か月 調理・清掃サービス 身体・精神・発達 一般飲食店
ビルメンテナンス
6か月 オフィスワーク 身体・精神・発達 一般事務
経理事務
1年 総合実務 知的 バックヤード業務
清掃業務
1年 OA実務 重度視覚障害 一般事務
地方公務員
1年 OAビジネス 身体・精神・発達 一般事務
経理事務
1年 CAD 身体・精神・発達 機械設計
CADオペレーター
1年 IT 身体・精神・発達 電子機器製造
プログラマ
1年 DTP 身体・精神・発達 事務補助
DTPオペレーター
1年 Webデザイン 身体・精神・発達 Web制作
DTPオペレーター

続いて、学べる内容の一部を見ていきましょう。

事務系「OAビジネス」

・OA操作
・簿記・会計
・ビジネスマナー

などを習得します。

簿記・会計やビジネスマナーでは、簿記や社会保険について学習し、会計実習を行います。また、日商PC検定や日商簿記などの資格取得を目指して取り組むコースもあります。

クリエイティブ系「Webデザイン」

Webデザインが学べる訓練校では、OA操作の他、

・イラスト作成・加工ソフト操作(Illustrator、Photoshop)
・Webページ作成(HTML、プログラミング、CMS)

などを学ぶことができます。

オフィスソフトのほか、デザイン系ソフトの操作を習得し、印刷物からWebページの作成までこなせるよう、レイアウトやプログラミングの基礎を学びます。

DTPと共に全国的にやや少なめのコースです。

カリキュラムを選ぶポイント

コースの内容は理解できたかと思いますが、「自分に合うカリキュラムが何なのかまではよくわからない」という方がいるかもしれませんね。

カリキュラムを選ぶポイントは、

・苦痛でなく楽しんで続けられる作業であること
・自分の障害の得手不得手にマッチしていること
・修了後に就職できるかイメージをしておくこと

です。

カリキュラムを終えた後に「学んだ技術が今後の仕事に活かせるかどうか」は重要なことなので、修了後の就職を見据えて技術を習得していきましょう。

訓練校で学ぶ技術は基礎的なレベルになります。 期間も半年から1年と短いため、高度な技術を身につけるための学習ではありません。

しかし、就職に役立つ基礎的な技術はじっくりと学べますし、修了後も就職支援のサポートを受けることができます。訓練から就職へとつながるサポートの流れがあるのは心強いですね。

障害者職業能力開発校は無料で訓練を受けられる?

電卓で費用を計算する

受講料は無料ですが、教科書代や資格試験の受験料などは自己負担となります。また、訓練科によっては、作業服などの購入が必要な場合があります。

手当の支給について

職業訓練は「公的職業訓練」と「求職者支援訓練」の2つに分けられていますが、この2つの訓練を受ける際、条件に当てはまった方には各種手当が支給されます。

手当支給のパターンは2つあります。

1.【公共職業訓練】

公共職業訓練とは、別名「離職者訓練」とも呼ばれます。主に雇用保険を受給している求職者の方を対象とした、就職に必要なスキルや知識を習得できる無料の職業訓練です。

雇用保険を受給中の方がこの訓練を受けた場合、以下の手当てを受給できます。

  • 基本手当:失業保険。離職前の賃金に応じて支給額が異なる
  • 受講手当:日額500円/月に上限20,000円まで
  • 通所手当:交通費/月に上限42,500円まで

基本手当は、訓練期間中に雇用保険の受給期間が過ぎても、訓練修了まで給付が延長されます。

2.【求職者支援訓練】

求職者支援訓練とは、雇用保険を受給していない方を対象に行う職業訓練です。

求職者支援訓練を受ける場合、雇用保険の期間がすでに切れており、現在は雇用保険を受給していない場合に以下の給付金や手当がもらえます。

  • 職業訓練受講給付金:月額100,000円
  • 通所手当:交通費/月に上限42,500円まで

ただし、求職者支援訓練で給付金を受給するには以下の条件があるので確認しましょう。

  1. 本人の収入が月8万円以下
  2. 世帯全体収入が月30万円以下
  3. 世帯全体の金融資産が300万円以下
  4. 現在の住居以外に、土地や建物を所有していない
  5. 全ての訓練実施日に出席
  6. 同じ世帯内で給付金を受給して職業訓練を受けている人がいない
  7. 過去3年以内に、不正行為により特定の給付金を受けたことがない
  8. 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない

参考:求職者支援制度のご案内 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

これらの条件全てに当てはまる場合に給付金が支給されます。

障害者職業能力開発校を利用したいときは

利用の流れ

「障害者職業能力開発校」を利用したいときは、以下の流れで申し込みます。

  • 住んでいる地域のハローワークで職業相談をして、提出書類などをもらう
  • 訓練校をあらかじめ見学しておく
  • 応募書類を提出する
  • 受験・選考
  • 合格者入校

対象者について

・就職の意欲があり訓練で技術習得ができる
・障害の症状が落ち着いて安定している
・集団生活をしながら職業訓練ができる

上記の3点をクリアしており、かつ、 「障害者手帳」を持っている場合に対象となります。

手帳がない場合でも医師の診断書があり、障害があると認められる場合は対象者となる訓練校もあるので相談してみましょう。

選考方法と倍率

カリキュラムによって選考方法は変わります。

「事務系」や「IT系」の試験は、

・筆記試験(国語・数学)
・面接

の2つが選考要項となっています。

筆記試験の難易度は中学卒業程度です。過去の試験問題を公開している訓練校もあるので確認しておきましょう。

受験の倍率は令和3年度で、

国立県営11校は0.89倍
機構運営2校は1.23倍
府県立は1.19倍
全体では0.98倍

となっています。

寮の利用

遠方からの利用や、身体障害があり通校が困難な場合は寮・寄宿舎が利用できます。

家賃は基本的に無料ですが、光熱水費と食費は有料か、月額料金が決まっている場合が多いです。寄宿手当は原則月に10,700円支給されます。

障害者職業能力開発校の就職率とハローワークの就職サポート

ハローワーク

中退者が多いって本当?

就職率は令和3年度で64.7%となっており、それほど高いと言えないのが現状です。

中退者375名のうち、就職した方は204名、修了者804名のうち、就職した方は559名です。

中退者の中には訓練の期間中に就職が決まった方も多くいますが、就職先が決まらないまま中退・修了してしまう方も少なくないことが分かります。

ハローワークとの連携

障害者職業能力開発校は地域のハローワークとつながっています。

就職するまでを目標としているので、ハローワークやその他の支援機関からの就職支援を受けられるのです。

就職をするためには、就職相談や面接練習を行い、ハローワーク主催の合同就職面接会にも参加するといいでしょう。訓練期間中に就職活動を意欲的に進めていくことが重要になります。

就労移行支援との違いについて

職業訓練は「就労移行支援事業所」でも受けられます。

就労移行支援事業所とは、2年間じっくり時間をかけて就職に向けたトレーニングを行う場所です。

職業訓練校と就労移行支援、どちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか?

これから「障害者職業能力開発校」と「就労移行支援事業所」の2つの支援施設についてご紹介していきたいと思います。 それぞれに向いている方はどんな方か見ていきましょう。

障害者職業能力開発校が向いている方

  • 目指す仕事が決まっていて、習得したいスキルが明確
  • 体力もあり、集団での訓練に対応できる柔軟さがある
  • 手当や給付金を受け取りながら職業訓練がしたい

技術の習得に集中して就職を目指すのが訓練校です。また、手当が出ることで生活費の負担も軽減されますから、安心して訓練に取り組めます。

就労移行支援事業所が向いている方

  • 職業訓練を色々と試しながら適職を見つけていきたい
  • 体力が不安なので自分のペースで通所時間を延ばしたい
  • 「職場定着支援」で就職した後もサポートをしてほしい

障害への理解が深いのが就労移行支援の特徴です。個人のペースで体力をつけながら取り組めますし、就職後のサポートがあるのは心強いですね。

自分に合っているのはどちらか、現在の状況と目標を考えて選択していきましょう。

まとめ

  • 「障害者職業能力開発校」は障害のある方が就労に必要なスキルや知識を身につけられる場所。
  • 概ね3か月、6か月、1年のコースがあり、学べる内容や障害特性などを考えてコースを選択できる。
  • 職業訓練を受けている間、受給資格に当てはまれば、手当・給付金が支給される場合もある。
  • 遠方や身体障害で通校が難しい場合、寮・寄宿舎が利用できることも。
  • 目標が明確でない場合や自分のペースで通いたい場合、就労移行支援事業所を利用する方法もある。

障害者職業能力開発校を受験したい方は事前の見学をおすすめします。訓練の様子を見て、実際の雰囲気を感じてみてください。

訓練を続けられるかどうかイメージしておくことはとても大切です。

自分に合った職業訓練を選び、就職に向けて一歩ずつ取り組んでいきましょう。

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