てんかん

軽いてんかんでは障害者手帳をもらえない?取得できる基準とは

あなたは、てんかん発作がどのような原因で引き起こされるかご存じですか?

てんかん発作は、大脳の神経細胞の活動リズムが乱れ、脳内の電気信号が過剰に発生することが原因で起こります。

発作は突然起こり、日常生活や仕事に支障が出てしまうこともあるため、てんかんがある方は不安を抱えながら生活しています。

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「てんかんで障害者手帳をもらうことはできるの?」

「今の自分の状態は障害者手帳や障害年金の基準に当てはまるのか知りたい。」

など、ご自身やご家族にてんかんがある場合に受けられる支援として、どんなものがあるのか知りたい、という方は多くいらっしゃることでしょう。

  • 軽いてんかんでは障害者手帳はもらえない?
  • てんかんで障害者手帳を取得できる基準について
  • てんかんで障害年金をもらうのは難しいのか?

を解説していきます。

てんかんがある=障がい者なのか?

軽いてんかん障害者手帳 取得できる?取得できない?

「てんかんがあると障がい者になるのか?」ですが、てんかんを患った場合、条件によっては障害者手帳を受け取ることができるので、福祉サービスや支援を受ける際や手続きの面で障がい者として分類される機会があります。

また、日常的に生活に支障をきたす状態が継続し、病院で検査を受け、医師から診断を受けたのであれば、障がい者であると言えるでしょう。

人によってどのように受け止めているのかは異なります。「障がいを持っている」と認識する方もいれば、「持病がある」という受け止め方をしている方もいます。

てんかんも障害者手帳を申請できる

てんかんは、現在では7~8割の方が治療と服薬で、症状をコントロールできるようになっています。

しかし、薬の効果がなく発作の抑制が難しいタイプのてんかんもあります。発作が抑制できないと、日常生活の支障に加え、車の運転や仕事を続けることも難しくなるため、社会で生きることに生きづらさや不安を感じている方も多いです。

このように、長期にわたって生活に支障を感じている方は、条件によって障害者手帳を申請することができます。

障害者手帳の種類

次は障害者手帳の説明と、申請できる手帳の種類についてご説明します。

障害者手帳とは、障害によって日常生活や社会生活で支障がある方に対して交付される手帳です。

障害者手帳を取得すると、生活全般におけるさまざまな支援やサービスを受けることができ、税金の控除や就労支援などを受けることができます。

障害者手帳の種類は、次の3つです。

  • 身体障害区分:「身体障害者手帳」
  • 知的障害区分:「療育手帳」
  • 精神障害区分:「精神障害者保健福祉手帳」

てんかんは3番目の「精神障害」区分に入るため、取得できるのは「精神障害者保健福祉手帳」になります。

「精神障害者保健福祉手帳」は、てんかんのほか、以下の疾患が対象になっています。

  • 統合失調症
  • 発達障害
  • 高次機能障害
  • うつ病、双極性障害
  • 薬物依存症
  • その他の精神疾患

精神障害者保健福祉手帳は、上記いずれかの疾患があり、かつ、

  • 長期にわたって日常生活や社会生活で制約がある方
  • 日常生活を一人で送れず、介護や援助が必要な方
  • 普段の生活や仕事をするうえで制限がある方

が交付の対象となっています。

障害者手帳の認定基準とは?軽いてんかんでも申請できる?

手続き・申請

てんかんの症状や程度は一人ひとり異なり、定期的に通院して薬を服用していても症状がでてしまう方もいれば、日常生活では通院と服薬を欠かさず行うことでなんとか対処できているものの、全く困っていないかと言えばそれは違う……という、微妙な状況にある方もいます。

症状の重いてんかんで障害者手帳を取得することはもちろん可能ですが、軽いてんかんでは障害者手帳はもらえないのでしょうか。

また、どのくらいのレベルであれば障害者手帳を受け取ることができるのでしょうか。

次の項目から障害者手帳の認定基準や申請方法を確認していきましょう。

てんかんの場合の障害者手帳認定基準

「精神障害者保健福祉手帳」には症状の重い順に1級、2級、3級があります。

等級は、てんかんの「障害の程度」と「発作のタイプ」をもとに認定されます。

障害の程度

1級 十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時介護が必要なもの
2級 十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限されるもの

発作のタイプ

A 意識障害が起き、状況にそぐわない行為を示す発作
B 意識障害の有無に関わらず転倒する発作
C 意識を失ってしまい、行為が止まるが倒れない発作
D 意識障害はないが、意図した動きができない発作

軽いてんかんで障害者手帳を取得するには、少なくとも障害の程度が「3級」の状態を満たしている必要があります。

3級とは、「治療を続けているにもかかわらず、てんかん発作のため、仕事上の活動が制限される状態」のことを指します。

発作のタイプにもよるため、一概には言えませんが、通院と投薬によって仕事に支障が出ない良好な状態を保つことができていれば、通常、手帳は受け取れない、ということになります。

また、症状が軽くなった、などの理由から、自己判断で通院治療を辞めてしまったり、処方通りに服薬していなかったりして症状が安定しない場合には、認定対象から外れてしまいます。医師の指示通り、正しく治療を受けることが必要です。

ちなみに、てんかんに伴う二次障害として「うつ病」などの精神疾患がある場合は、それらの症状も認定対象となります。ただ、判断が難しいため、障害者手帳が欲しい場合は、一度かかりつけ医に相談してみると良いでしょう。

精神障害者保健福祉手帳の申請方法

精神障害者保健福祉手帳を取得するには、初診日から6か月経過している必要があります。

精神障害者保健福祉手帳を取得する流れは以下のようになります。

タイトル
  • STEP1
    書類を受け取る
    市区町村の障害福祉担当窓口で、精神障害者保健福祉手帳を取得するための申請書類を受け取る。
  • STEP2
    診断書を依頼する
    主治医に精神障害者保健福祉手帳用の診断書作成を依頼する。
  • STEP3
    書類を提出する

    申請書や診断書などの必要書類を市区町村の障害福祉担当窓口に提出する。

    【必要書類】

    • 障害者手帳申請書
    • 医師による診断書
    • 本人の写真(縦4cm×横3cm)

    ※精神障害で障害年金を受給している場合、障害年金証書の写しを診断書の代わりに提出することもできます。

  • STEP4
    手帳の交付
    審査を受け、手帳が交付される。

※手帳の交付は申請から2か月程度かかります。

てんかんで障害者手帳を取得した際のメリット・デメリット

障害者手帳のメリット、デメリット

障害者手帳を取得するとさまざまなサービスが受けられるので、障害者手帳を取得したいと考えている方にとってデメリットは少ないと言えます。

障害者手帳を取得するメリットとデメリットについて、いくつか挙げていきましょう。

障害者手帳を取得するメリット

  1. 障害者雇用枠で働くことができ、就労支援が受けられる
  2. 医療費の助成が受けられる
  3. 税金の控除・日常生活でサービスが受けられる

障害者雇用枠で働くことができ、就労支援が受けられる

障害者雇用枠とは、障がい者の雇用を推進するために作られた一般企業の採用枠です。

障害者雇用枠では、障がい者が能力を発揮できるように、職場環境の改善や業務指示の方法の見直し、業務時間の通院の許可など、企業側と必要な配慮について話し合い、調整してもらうことができます。

また、障害者手帳があると、さまざまな支援機関で就労支援を受けることが可能です。

就労支援とは、就職前のトレーニングから就職後の相談までの、就職に関するサポートを受けられる支援のことを指します。

  • 就労移行支援事業所
  • 地域障害者職業センター
  • 地域若者サポートステーション
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)

これらの機関で支援を受けることができます。

就職活動も一人で行う必要はなく、相談できる人がいるため、困った状況も突破しやすくなります。

また、就職後の職場での困りごとに関しても、一人で悩むと偏った考えに陥りがちですが、アドバイスをもらうことで客観的に状況を判断し行動に移すことができるので、相談はとても有効です。

紹介した就労支援機関に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いを分かりやすく解説

地域障害者職業センターとは?役割、他の機関との違いを解説

サポステは怖い?引きこもりやニートでも安心して利用できる支援サービスを解説

「なかぽつ」こと「障害者就業・生活支援センター」とは?

てんかんと仕事については、以下の記事でも取り扱っています。

医療費の助成が受けられる

障がいの等級によっては、国や都道府県などに医療費の自己負担の一部、または全額を負担してもらうことができます。

障がいにより十分に働けず、経済的な負担が大きい方にとっては、とてもありがたい制度だと言えますね。

税金の控除・日常生活でサービスが受けられる

税金に関しては、

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税

で控除が受けられます。

そのほか、贈与税の非課税や自動車税の減免、日常生活でのサービスが受けられます。

控除を受けるためには、年末調整または確定申告時に書類へ必要事項を記入し、申請する必要があります。

自動車税の
減免○×

1級 2級・3級
所得税の控除 40万円を控除 27万円を控除
住民税の控除 30万円を控除 26万円を控除
相続税の控除 85歳に達するまで
1年×20万円を控除
85歳に達するまで
1年×10万円を控除
贈与税の
非課税
6,000万円まで控除 3,000万円まで控除
携帯電話
使用料金割引
公共施設
利用料割引
生活保護の
加算
×

参照:障害者と税|国税庁

障害者手帳を取得するデメリット

デメリットについても見ていきましょう。

  1. クローズ就労の場合、周囲からの理解やサポートは受けられない
  2. 申請する際の手順が煩雑
  3. 自身が障害者であることを認めることに抵抗を感じる

クローズ就労の場合、周囲からの理解やサポートは受けられない

クローズ就労とは、職場の人たちに病気や障がいのことを伝えずに働く働き方です。

クローズ就労自体に問題はありません。

しかし、病名や障がいを伏せていても、行動や病状によっては障がい者であることや持病があることが漏れてしまう可能性はあります。

例えば、年末調整で障害者控除を申請すると、給与を扱う部署には障害者控除を利用していることが分かるため、どうしても知られたくない場合には、前もって担当者にクローズ就労を希望していることや、周囲には言わないでほしいという旨を共有しておいたほうがよいでしょう。

また、クローズ就労を選択した場合には、本人の病状や困っている状況を周りの人が知る機会がないため、万一のときに適切な理解やサポートが受けられずに困るといったケースもあります。

クローズ就労に関しては、以下の記事で解説しています。
クローズ就労は違法なのか?バレる?デメリットはあるのか解説

申請する際の手順が煩雑

障害者手帳の申請は手順が煩雑で、書類をすべて揃えるまでに時間と労力がかかります。

煩わしく感じてしまう方もいるかもしれません。

支援が必要かどうかよく考えたうえで申請を行い、一人で手続きを行うことが難しければ、病院のケースワーカーや担当窓口に相談してみましょう。

自身が障害者であることを認めることに抵抗を感じる

自分が障がい者であることを認めることは簡単なことではないかもしれません。また、障がい者になったという状況を他人に知られたくないという方もいます。

しかし、病気や事故で障がい者になることは誰にでも可能性のあることです。

病気や障がいを受け入れ、心を整えながら、日々の生活に自分を適応させていくことが大切です。

心にゆとりを持つためには、現実的に生きる上でのハードルとなっているものを一つずつ取り除いていくことが必要であり、そのために国や各自治体などの支援制度を利用することは恥ずかしいことではありません。

受けるべき援助や支援を受け、ゆっくりと一つひとつ、状況を受け入れていけると良いですね。

てんかんで障害年金をもらうのは難しい?

年金手帳と障害者手帳

障害年金の種類

障害年金とは、「障がいにより長期にわたって生活が制限されている方」のために支給される年金です。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。

支給される年金の種類は、「障がいの原因となる病気や怪我で医療機関を受診した初診日」に、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたかによって決まります。

国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」となります。

障害年金の認定基準

障害年金は障害者手帳とほぼ同じ基準を利用して認定されますが、障害年金は、「てんかんの原因となる病気やケガで医療機関を受診した初診日」に、必ず「国民年金」または「厚生年金」に加入している必要があります。

さらに、保険料を一定以上納めている必要もあります。

初診日が20歳未満であった場合はこの条件には当てはまりません。

また、精神障害を併発しておらず、発作がない間は問題なく日常生活が送れていると判断されると、障害年金の基準から外れる場合もあります。

障害年金は条件が複雑なため、障害者手帳の取得よりも受給の基準が厳しいと言えるでしょう。

てんかんのある方が利用できる支援制度・支援機関


てんかんの方が利用できる支援として、これまでに出てきた

  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 就労支援
  • 障害年金

のほか、以下の支援制度や支援機関があります。

自立支援医療

てんかんを含む精神疾患のために医療機関を受診する場合、医療費の自己負担を1割に軽減します。9割の医療費は医療保険と公費で負担します。

高額療養費制度

高額療養費制度は、日々の通院や入院した際の累計費用(1か月の治療費の自己負担金)が負担限度額の金額を超えた場合に、限度額を超えた分が払い戻される仕組みです。

ただし、食費負担や個室を希望した際の費用等は対象外で、制度を利用するには申請手続きが必要です。

重度心身障害者医療費助成制度

てんかんで精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方は、「重度心身障害者医療費助成制度」を利用することができます。

この制度は、心身に重度の障がいがある方とその家族の経済的負担を軽減する制度で、医療機関受診の際の自己負担分を自治体に助成してもらえる制度です。

各自治体が主体となって実施しているため、助成の条件や申請方法は自治体ごとに異なります。詳しくはお住まいの地域に設置されている障害福祉の担当窓口へお尋ねください。

健康保険の傷病手当金

健康保険(会社の健康保険組合や全国健康保険協会)に加入している方が、病気のために入院や通院で会社を休んだ時、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

特別障害者手当

精神又は身体に重度の障害があり、日常生活において常に介護を必要とする特別障害者の経済的・精神的な負担を軽減するために手当を支給します。

公益社団法人日本てんかん協会(波の会)

てんかんの支援機関として、公益社団法人「日本てんかん協会(別名:波の会)」があります。

各都道府県に支部があり、てんかんに対する社会的理解の促進や、てんかんに悩む方たちの社会援護活動など、全国的な活動を行っています。

本部では専門知識や同じ病気の経験がある相談員へ相談できる相談事業も行っています。

まとめ|軽いてんかんで障害者手帳はもらえる?

  • てんかんの方でも、長期にわたって生活に支障を感じている場合、障害者手帳を取ることができる。手帳の等級は、「障がいの程度」と「発作のタイプ」をもとに認定される。
  • 手帳の取得は通院・投薬による十分な治療を続けていることが前提となる。また、軽度のてんかんでも、ほかの精神疾患がある場合、手帳が取得できる場合がある。
  • 障害年金は、障害者手帳とほぼ同じ基準で認定がされるが、「てんかんの原因となる病気・ケガで医療機関を受診した初診日」に「国民年金」か「厚生年金」に加入し、保険料を納めている必要がある。初診日が20歳未満の場合はこの条件には当てはまらないが証明が必要。
  • 障害者手帳や障害年金の他、就労支援や自立支援医療、高額療養費制度など、生活・就労の両面で支援制度・支援機関を利用できる。

てんかんで思うように働けない方や日常生活で支障を感じている方にとって、障害者手帳や障害年金は暮らしの支えになるでしょう。

手続きはやや複雑ですが、申請にチャレンジすることで生活の改善につながる可能性もあります。

支援が必要な方は、周りに相談しながら手続きを始めてみてはいかがでしょうか。

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