てんかん

てんかんの方でも一人暮らしは可能?睡眠中や一人の時の注意点も解説

てんかんがある方の中には、人生の節目を迎え、新しい環境での一人暮らしを考えている方もいらっしゃるでしょう。

てんかんの症状によっては、家族と生活することが最善な場合もありますが、症状が安定していれば一人暮らしをすることは自信になりますし、自立した生活につながります。

しかし、一人暮らしは初めてで、なかなか踏み切れないという方もいるかもしれません。

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「一人暮らしって自分でもできるのかな……。」

「発作があるから一人の時や睡眠中が心配……。」

など、てんかんがあるけれど、一人暮らしが気になるという方へ、

  • てんかんがある方も一人暮らしはできるのか?
  • てんかんのある方が一人暮らしをする際の注意点
  • てんかんのある方が一人暮らしをする際に利用できる相談先や支援制度
  • 病気・障がいがある方の在宅勤務やリモートワークの探し方

についてお伝えします。

てんかんがある方も一人暮らしはできるの?

女子一人暮らしの部屋曇りの日
てんかんがある方の中にも、一人暮らしをしている方はいます。

ただし、てんかんの症状によっては一人暮らしではなく、スタッフが常駐している障がい者向けグループホームなどが良い場合もあります。

一人で生活をするためには、症状がある程度安定している状態が望ましいでしょう。

一人暮らしの際は通院や服薬管理はもちろん、家賃の支払いや家事全般など身の回りのことを全て自分で行わなければならないため、自己管理能力が非常に重要になります。

また、発作が起きたときには一人で対処する必要もあります。家の中で倒れたときを想定して、安全を確保するために、できるだけ家の中に危険なものを置かないようにしましょう。

ケガをしたときのために、最寄りの病院についても事前に調べておくとよいでしょう。

てんかんのある方が一人暮らしをする際の注意点

倒れている人形と家

一人暮らしにおける、発作への対策・対処法として、以下のものが挙げられます。

発作が起きないように心掛ける

発作の要因として、疲労やストレスがきっかけとなる場合があります。十分な睡眠をとり、疲れをためないようにしましょう。また、ストレスへの対処法を自分で見つけておくとよいでしょう。

しかし、ストレス解消のために、ゲームやスマートフォンの使用を長時間続けるのは逆効果です。

睡眠不足や疲労につながりますし、強い光を見ることがてんかん発作のきっかけになることがあります。

発作のきっかけとなる要因や程度は人によって異なるため、自分のてんかんの状態を把握しておきましょう。

発作が起きたときの対処法を考える

発作が起きても身体に危険がないように、家の中で使用するものを工夫しましょう。

調理の際は火を使わずIHや電子レンジを使用する、鋭利なものは使ったらすぐに片付ける、ポットのお湯は使った後にすぐ捨てるなどが考えられます。

また、入浴中の発作に備えて浴室にマットを敷く、疲れているときは湯船に浸からずシャワーで済ませる、角の尖ったものを置かないように心がけるなど、倒れたときの対策をしておくとよいでしょう。

安否を確認してくれる人を見つけておく

実家から離れて暮らす場合、身近に安否を確認してくれる人がいると心強いですね。

身近な方に定期的に連絡をお願いし、安否確認をしてもらうと良いでしょう。

家の中で倒れていないか、ケガをしていないかなど、情報を共有できる相手がいると安心につながります。

てんかんのある方が睡眠中に気をつけたいこと

てんかんのある方は、睡眠中に発作が起こる場合もあります。

寝るときの体勢で、うつ伏せで顔を横向きにした「伏臥位ふくがい」の状態で寝ると、発作が起きたときに顔を枕に押し付けてしまい、呼吸困難になる可能性があります。

睡眠中の呼吸困難を防ぐため、硬い枕を使用するのも一つの方法です。

睡眠不足は発作の要因となる場合があるため、気をつけたいところです。

考えられる方法としては、

  • 寝るときの姿勢は仰向けに
    ― うつ伏せでは窒息の可能性があるため
  • 枕は硬めのものを使用する
    ― 柔らかい枕は顔が埋まって呼吸困難になるおそれがある
  • 寝る環境は布団がオススメ
    ― ベッドでは転落の危険がある

などが挙げられます。

一人暮らしは将来のためのシミュレーション

支えてくれている家族が病気になってしまうなど、日常生活をサポートしてもらえなくなる時が来ることも考えられます。

家族のサポートが受けられない時に備えて、公的な支援などを活用しながら家族の助けを借りずに自立した生活をするスキルを身につけておくことはとても重要です。

病気や障がいがある場合、自分の未来を想像して少しずつ活動を始めてみましょう。

てんかんのある方が一人暮らしをするときに利用できる相談先


サポートのない状態で、一人暮らし始めることに不安を感じてしまう方もいるかもしれません。

そのような方が一人暮らしをするときに利用できる相談先には、次のような機関があります。

自治体の福祉担当窓口

各自治体の障害福祉を担当している部署では、障がいがある方の生活全般の相談や福祉サービスの利用についての相談対応を行っています。

どこに相談すればいいか迷う場合は、まずお住まいの自治体にある障害福祉の担当窓口に問い合わせてみましょう。

各市町村における担当窓口一覧

基幹相談支援センター

基幹相談センターでは、障がいがある方が地域で自立した生活を送れるようにするために、障害福祉に関する相談支援を行っています。

基幹相談支援センターでは、以下のような支援を行っています。

支援内容

  • ◆ 障がい者の生活に関する、総合的かつ専門的な相談支援
    専門的な知識を持つ職員が、障がいの種別に応じたさまざまな相談に対応します。
  • ◆ 障がい者の地域移行・地域定着をサポート
    基幹相談支援センターでは、障がい者が生活の拠点を施設や病院から地域へ移行する際に、施設と連携し、住居の確保や新生活の準備支援を行います。また、障がい者が単身で生活する場合には、緊急時の対応と夜間を含む常時連絡体制の整備も行います。緊急時に対応してもらえるのは心強いですね。
  • ◆ 障がい者の虐待防止や権利擁護の相談支援
    基幹相談支援センターは、家庭内または施設内での障がい者虐待に関する相談にも対応しています。また、障がい者の権利擁護のため「成年後見制度利用支援事業」を推進しています。

    成年後見制度
    障がいがあるなどの理由で判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所によって選ばれた後見人が本人の財産管理や身上監護(施設の入所契約、生活環境の整備、本人の治療や入院手続きなど)などを行うことで、保護を図り、権利を擁護する制度です。
  • ◆ 地域の相談支援体制の強化と取組み
    基幹相談支援センターでは、以下の各相談支援事業所と連携して相談内容に取り組んでいます。

    • 一般相談支援事業所
      一般相談支援事業所では、相談支援のほかに、障がい者が入所施設から自立して地域で生活できるようにするための地域移行支援と、地域生活を継続していくための地域定着支援を行います。地域で生活していく上で困ったことや不安を感じたときに、いつでも相談することができます。緊急時も24時間体制で対応しています。
    • 特定相談支援事業所
      特定相談支援事業所では、相談支援のほかに、適切な福祉サービスを利用をするための計画相談支援を行います。福祉サービスは非常に複雑なため、職員が相談内容から一人ひとりに合ったサービスを判断して提供します。また、利用中の福祉サービスを一定期間ごとに見直し、調整も行います。

支援対象者

基幹相談支援センターは、障害者手帳の有無に関わらず利用が可能です。

利用料

相談は無料ですが、サービスによっては利用料金が発生します。

てんかんのある方が一人暮らしをする際に利用できる支援制度


一人暮らしの際に利用できる支援制度には、どのようなものがあるでしょうか?

内容や期間など、詳しく見ていきましょう。

自立生活援助

自立支援援助とは、単身で暮らす障がい者が、安心・安全に暮らしていけるように生活全般のサポートを行う支援です。

自立支援援助では、職員が定期的に利用者の自宅を訪問します。

訪問や連絡で、利用者の生活上の問題を把握して助言を行い、必要な情報の提供や、関係機関との連絡・調整をします。

そのほか随時の対応や買い物、通院などの同行支援も行います。

※同行支援は一定期間を過ぎると、後述の「移動支援」に引き継がれます。

支援対象者

一人暮らしの障がい者のほか、高齢の親と同居している障がい者で、親の支援を受けることが難しい場合も支援の対象に含まれます。

利用期間

標準利用期間は1年ですが、引き続き支援が必要な場合は審査を受ける必要がありますが、複数回の更新が認められます。

移動支援

移動支援とは、一人で外出することが困難な障がい者に、ガイドヘルパーが共に行動してサポートする支援です。

障がい者の社会参加を支えることを目的としており、選挙の投票や冠婚葬祭の出席はもちろん、余暇活動として、コンサートや観劇、イベントへの参加などもサポートします。

てんかんがあると発作の心配から屋外の移動に不安を感じる方もいると思いますが、付き添ってもらうことで安心して目的の場所へ行き、活動ができるようになります。

支援の種類

移動支援は個人の移動だけでなく、グループでの移動の際も利用できます。

実施する方法は3種類あり、「個別支援型」「グループ支援型」「車両移送型」に分けられます。

  • 個別支援型
    支援者と1対1での移動支援です。移動にはバスや電車、タクシーなどの公共交通機関を利用します。
  • グループ支援型
    目的地が同じである複数のサービス利用者がいる場合に、複数人同時に移動支援を行います。複数人で同一のイベントに参加する場合などに利用できます。
  • 車両移送型
    福祉バスなど、車両の巡回による送迎支援です。公共施設や駅、福祉センターなど、障がいのある方が利用する可能性の高い場所を巡回しています。

外出先の対象と対象外

移動支援には支援の対象となる外出先と、対象外となる外出先があります。

対象となる外出先
  1. 社会生活を送るうえで欠かすことができない外出
    選挙の投票、金融機関などでの手続き、冠婚葬祭など
  2. 社会参加のための外出
    余暇活動、ボランティア、美術館、映画館、コンサート会場、ジム、美容院、買い物など
対象外の外出先
  1. 経済的活動にかかる外出
    通勤、営業活動など
  2. 長期にわたる継続的な外出
    通学、通所、通園など
  3. 社会通念上、利用が適当でない外出
    宗教活動、ギャンブルなど

支援対象者

移動支援は障がいによって一人で出かけることが困難な方が対象です。

障害者手帳を取得していない場合でも、自治体から発行される受給者証を取得することで移動支援を利用することができます。

ただし、市町村が行う支援事業のため、地域によって支援の対象者や支援方法、外出先の範囲が異なることに注意が必要です。

てんかんなどの障がいがある方向け 在宅勤務やリモートワークの探し方

てんかんのある方で、在宅勤務やリモートワークをしたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

てんかんなど、障がいのある方が在宅勤務の仕事を探す方法をまとめました。

「てんかんと仕事」については以下の記事もご覧ください。

⇒てんかん持ちにつけない職業はあるの?てんかんでもできるおすすめの仕事とは

ハローワークの利用

ハローワークインターネットサービスの求人検索ページで、フリーワードの欄に「在宅勤務」と入力して検索すると在宅勤務の仕事を検索できます。

地域によっては在宅勤務の求人が無いこともありますが、その場合はハローワークに設置されている障がい者向けの相談窓口で相談してみましょう。

ハローワークの障がい者向け窓口での相談に、障害者手帳の有無は問われません。

窓口で仕事の情報をもらえる場合もあるので、相談してみるのも一つの手段です。

ハローワークの障がい者向け相談窓口で就労継続支援事業所の利用を提案される場合があるかもしれません。自治体によっては在宅で利用できる事業所もあるため、調べてみるといいでしょう。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

⇒就労継続支援A型は在宅で勤務できる?在宅ワークのメリット・デメリットを解説

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)へ相談

なかぽつでは、職業紹介は受けられませんが、求職活動の相談をすることができます。

例えば、仕事選びで迷ったときに、なかぽつの職員にハローワークへ同行してもらい、相談しながら求人を探すことも可能です。

就職した後も困りごとを相談することができます。さまざまな機関と連携しているため、幅広い分野での対応が可能です。

住居の最寄りのなかぽつが利用できます。利用料は無料です。

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)に関しての詳細は、以下の記事をご覧ください。

⇒「なかぽつ」こと「障害者就業・生活支援センター」とは?

転職エージェントの利用

転職エージェントでは、アドバイザーに希望の働き方を相談しながら仕事を探すことができます。

在宅勤務を希望することを伝えれば、自身の履歴書や職務経歴書を参考にした上で、希望に沿った仕事を紹介してもらえます。

転職エージェントにはハローワークでは出会えない求人も多くあるので、ハローワークと同時に利用するのも良いでしょう。

クラウドソーシングの利用

クラウドソーシングとは、企業や個人がインターネット上で不特定多数に業務を依頼する業務形態のことで、業務委託の一つです。

クラウドソーシングサイトで依頼に出されている仕事のジャンルは幅広く、その中から自分に合った仕事を選べるため、専門的な技術を活かして働くことが可能です。

しかし、常に仕事を受注できるわけではないので収入が安定しにくく、個人事業主扱いになるため自身で確定申告を行い所得税を納める必要があります。

⇒障害者が就労移行支援からフリーランスは可能?おすすめの職種を紹介

まとめ|てんかんがある方の一人暮らし

  • てんかんがあっても一人暮らしはできるが、身の回りのことを一人で行う必要があり、発作の対処も一人で行わなければならないため、症状がある程度安定している状態が望ましい。
  • 一人暮らしにおける発作への対策・対処法として、「発作のきっかけとなる要因を避け、発作が起きない生活を心がける」「発作が起きたときの対処法を考える」「安否を確認してくれる人を見つけておく」「睡眠中の姿勢に気をつける」などが挙げられる。
  • 生活上利用できる支援制度として、生活全般のサポートを行う「自立生活援助」やガイドヘルパーが外出に同行して支援を行う「移動支援」がある。
  • 在宅勤務やリモートワークを探す方法としては、ハローワークやなかぽつでの相談、転職エージェントの利用、クラウドソーシングの利用が考えられる。

障がいがある方にとって一人暮らしは、少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、生活・仕事の両面で受けられる支援やサポートがあるので、ぜひ利用してみてください。

新生活をスタートさせるときに、参考になれば幸いです。

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