文部科学省の調査によると、大学に通う4年間で約7%の学生が中退という選択をしていることがわかっています。
また、引きこもり状態にある大学生の割合は全体の約5%とされており、その中の約80%が「大学に復帰できない」「単位が足りず進級・卒業できない」などの理由で中退しています。
様々な事情により大学を中退する人はあなただけではありません。
「大学中退で引きこもり……もう思い描いた人生設計は無理だろう」
「就職活動を経験していないから、仕事の探し方がわからない」
この記事にたどり着いたあなたは、このような悩みを抱えていらっしゃいませんか?
- 大学中退の引きこもり・ニートが就職活動で不利になる理由
- 大学中退の引きこもり・ニートが就職するためのポイント
- 大学中退者や引きこもり・ニートに強い就職エージェント
- 大学中退者や引きこもり・ニートが利用したい公的な就職支援
について解説していきます。
この記事を読んで、社会人経験のない大学中退者にオススメな就職支援を見つけ出し、社会復帰への一歩を踏み出しましょう。
大学中退の引きこもり・ニートが就職活動で不利になる理由3選
大学中退と聞くと、「授業をさぼっていたのでは?」「忍耐力がなさそう」「人間関係にトラブルを抱えていたのでは?」というネガティブな印象を持たれてしまうことがあります。
さらに、引きこもり・ニートという経歴からも「なまけ者である」「働くモチベーションが低いのでは?」ということを想像されてしまいます。そのため、「大学中退の引きこもり・ニート=人生終了」という考えに至ってしまう場合が多いのです。
もちろん、実際には大学中退の引きこもり・ニートだからといって人生が終了するわけではありません。しかし、大学中退後に何もせず引きこもり・ニートを続けていると、いつか本当に手遅れとなってしまう瞬間がおとずれます。そうなる前に社会復帰に向けて動き出す必要があります。
まずは、大学中退の引きこもり・ニートが就職活動で不利になってしまう理由を整理していきましょう。
最終学歴が「高卒」では応募できない求人がある
大学を中退した場合、最終学歴は高卒になります。そのため、大学中退者は大卒の方を対象とした求人に応募する資格を失ってしまうのです。
ハローワークの掲載求人数は全体で100万件を超えていますが、2023年度に高卒の方を対象としている求人は約44万件になっています。それでも莫大な数の求人があることはうかがえますが、大卒者と比較すると就職先の選択肢は大幅に少なくなります。
また、大手商社の総合職などは大卒以上を応募資格としている場合が多いです。興味がある業界や企業を目指そうとした時に応募できない可能性があることは、大学中退による大きなデメリットです。
参照:令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(令和5年7月末現在)|厚生労働省
面接時に「大学中退の理由」や「空白期間」について聞かれる
履歴書の学歴・職歴欄には事実を書く必要があるため、大学を中退している旨も記載しなければいけません。さらに、大学中退後に職歴がない場合は空白期間があることも一目でわかってしまいます。
そのため、面接では「大学中退の理由」や「空白期間」について質問されるのは避けられないことです。「学生起業」や「留学」など前向きな理由での中退はプラスの評価に働くポイントになりますが、「成績不振」や「人間関係のトラブル」など後ろ向きな理由による中退の場合は、深掘りされた時の回答に工夫が必要です。
大学中退の引きこもり・ニートの方にとって、この2つの質問は特に急所となりやすいです。過去の経歴から得た反省点などを盛り込んで、ポジティブに説明できるように準備しておく必要があるでしょう。
就職活動の手順がわからない
大学在学中に就職活動を行う場合、様々な手厚い支援を受けることができます。就職エージェントなどが大学に来て就職活動の手順を指導してくれますし、大学内に設置されている就職課では職業相談や履歴書の添削、模擬面接などが実施されています。
しかし、就職活動を経験しないまま大学を中退した場合、どのような手順で就職活動を進めればよいのかわからず、大きな不安を抱えてしまう方もいらっしゃるでしょう。この不安が、就職活動に対する恐怖心を生むきっかけとなり、社会復帰に向けて動き出せずにニートとなってしまうこともあります。
ここから先は、大学中退の引きこもり・ニートの方が就職するためのポイントやおすすめの就職支援について解説していきます。就職活動の手順が分からず悩んでいる方は、ぜひ読み進めて参考にしてください。
大学中退の引きこもり・ニートが就職するためのポイント3選
先述の通り、大学中退の引きこもり・ニートは就職活動において不利となる部分もありますが、それでも就職が不可能なほど厳しい状況に置かれているわけではありません。昨今は人手不足の業界も多く、若い人材が欲しいと考えている企業は数多くあります。
特に15歳~34歳の若年層の求職者を採用する場合、約70%の企業が「就労意欲・チャレンジ精神」や「社会性・一般常識」などを重要な評価項目として考えています。つまり、あなたのポテンシャルや人間性をしっかりアピールすることができれば就職できるのです。
ここからは、大学中退の引きこもり・ニートが就職するためのポイントについて解説します。
志望する業界を明確にすること
世の中には、1万8000種以上の職種があります。まずは、あなたがどのような業界を目指すのかを明確にすることが、就職活動の第一歩です。
未経験歓迎で学歴・経歴不問の求人が多い営業職や、業界の人手不足が深刻で少子高齢化によりますます需要が高まるとされている介護職など、引きこもり・ニートが就職しやすい業界はたくさんあります。
しかし、「今すぐ就職したい」「働けるならどんな仕事でもいい」と考えて就職を急いでしまうと、「思っていた仕事と違った」という事態に直面して、短期離職してしまうリスクが高くなります。
志望する業界を明確にすると、
- 効率よく企業選びができるようになるため、就職活動の負担が減る
- 業界の知識が増えることにより、実際に働いている姿をイメージしやすくなる
- 志望動機や面接の受け答えに一貫性が出て説得力が増す
このようなメリットがあります。
そのためにも、就職活動を始める前に「自己理解」と「業界理解」のために時間を割くことが大切です。
中途採用の求人が増えるタイミングを把握すること
大学中退の引きこもり・ニートの方は、中途採用として扱われるのが一般的です。そのため、中途採用の求人が増えるタイミングを把握して就職活動の準備を進めることで、より良い求人と巡り合えるチャンスが増えます。
求人が増加するタイミングは、転職活動による求職者が増加するタイミングと連動する傾向があり、以下の時期が該当します。
1月~3月
冬のボーナスを貰った後に転職を検討する人が就職活動を開始する時期であるため、中途採用の求人が増えるタイミングになります。3月末を末期とする企業が多く、中途採用者の入社時期を新卒者と同じ4月にすることで、企業側も新しい社員を受け入れやすい事情があります。
8月お盆明け頃~10月
夏のボーナスを貰い、長期休暇明けとなる8月のお盆明けからも、転職活動をする人が増える時期です。決算が3月の企業は4月~9月が上期となり10月より下期に入るため、下期の人事異動や人員補填のために採用が活発化する事情があります。
ただし、ここで注意したいのは必ずしも「中途採用の求人が増える時期=採用されやすい」とはならないことです。ライバルになる転職希望者が増える時期でもあるため、希望する求人を逃さないためにも、この時期を目安に就職活動の準備を入念に行うことが大切です。
資格の取得を検討してみる
大学中退の引きこもり・ニートの方が資格を取得することには、様々なメリットがあります。資格取得という目標を持って勉強に臨む時間は、充実した時間となるでしょう。空白期間にしっかり努力していたという事実があることは、あなたの自信に繋がります。
資格を所持していることで「働く意欲がある」と評価される場合もあり、選べる企業の選択肢が増えると共に、就職活動を有利に進められる可能性が高くなるのです。
しかし、例えば不動産取引の専門資格である宅地建物取引士(宅建)は認知度が高い国家資格ですが、不動産業界に興味がない方が取得しても意味がありません。資格の取得を検討する際は目的を持って、あなたが希望する仕事に生かせる資格であるかを見極めることが大切です。
また、資格取得までにどれくらいの時間がかかるのかという点も考えなくてはいけません。どのような試験であっても必ず合格できる保証はないため、資格を取得してから就職活動を始めようと決めてしまうと、ニート期間がさらに長引いてしまう可能性があることを忘れないようにしましょう。
大学中退の引きこもり・ニートの支援に強い就職エージェント3選
大学中退の引きこもり・ニートでも就職が可能な理由として、社会人経験がない方の支援を専門としている就職エージェントが台頭してきたことが挙げられます。
大学中退者や引きこもり・ニートに強い就職エージェントは、就職活動の経験がない方に向けた手厚い支援を展開しており、経歴不問・未経験歓迎の求人を多く取り揃えている特徴があります。
ここからは、大学中退の引きこもり・ニートの方がぜひ利用したい、実績のある就職エージェントを紹介していきます。
UZUZ(ウズウズ)
UZUZという就職エージェントは、引きこもり・ニートという経験を持つ創業者の今村氏自身の就職活動時の苦悩がベースとなって作られています。「世の中の新卒至上主義という考え方を変えたい」という想いから、大学中退者や引きこもり・ニートの求職者支援を得意としている就職エージェントです。
UZUZが特に力を入れているのがキャリアカウンセリングになります。通常の就職エージェントでは、初回に平均30分程度の時間で行われるキャリアカウンセリングですが、UZUZでは約2時間に及ぶ徹底したヒアリングを行います。
UZUZで働くスタッフは全員が既卒・第二新卒で就職した人で、中には就職活動で挫折を経験している方や引きこもりの経験を持つ方もいるそうです。同じ悩みを経験しているキャリアカウンセラーだからこそ、大学中退の引きこもり・ニートの方にとっては本音で相談しやすい就職エージェントではないでしょうか?
UZUZは自社の厳しい基準により掲載する求人を選んでおり、ブラック企業の排除にも積極的です。書類選考通過率が87%、内定率が86%、1年後の定着率が94.5%という高い数字を出していることからも、実績のある就職エージェントということがわかります。
⇒UZUZ|第二新卒/既卒/フリーター/新卒向け就職/転職サポート
ハタラクティブ
働きたいけれどなかなか内定を貰えない若者と、人材に困っている企業とのマッチングをコンセプトにしているのが、ハタラクティブという就職エージェントです。
大学中退や引きこもり・ニートで社会人経験がない方の支援を得意としており、実際に「引きこもり・ニートからでも就職できた」という声が多くあがっています。
利用者が「学歴や経歴に自信がない」「アピールできるスキルがない」などの悩みを持っていることを前提としているため、応募する企業1社ごとに丁寧な履歴書添削や面接対策を行ってくれます。そのため、書類選考通過率が90%を超えており、内定率も80%と高い水準の数値を出しています。
ハタラクティブは未経験からでも応募できる大企業の求人を多く扱っており、実際にハタラクティブが取材を行って、優良企業と判断した会社の求人のみを掲載している点も特徴的です。
一方で、扱う求人が都市部に集中する傾向があり、関東地方・札幌・名古屋・大阪・福岡などの大都市で勤務できる場合は就職に結びつきやすいですが、地方での就職活動にはあまり向いていない就職エージェントとなっています。
また、主に20代の方を中心とした就職支援を展開しているため、30代以上になると納得できる就職先に巡り合えない可能性がある点も注意が必要です。
⇒ハタラクティブ|フリーター・既卒第二新卒など若年層向け就職支援サイト
DYM就職
DYM就職は、大学中退者や引きこもり・ニートの方におすすめしたい就職エージェントです。入社後の研修や育成体制が整っている未経験歓迎求人を数多く扱っており、職歴なしの方でも優良企業に就職できる可能性は十分に高いと言えます。
DYM就職の最大の特徴は、DMY就職側が企業の社長や採用担当者と直接交渉を行っているため、書類選考なしで面接に進める求人が数多くあるということです。書類選考なしの企業に応募する場合、面接対策を丁寧に仕上げることで内定に結びつきやすいため、就職活動が苦手という方でも負担が少なく済むメリットは非常に大きいです。
もちろん、キャリアカウンセリングや応募書類の添削、面接練習などのサポートも徹底してサポートしてくれます。元々フリーターの転職に強い就職エージェントであったため、経歴に自信がない方やアピールできるスキルが少ない方に対しても、的確なアドバイスが期待できます。
⇒ニート・フリーター向けの就職エージェントならDYM就職【公式】フリーター・ニート向けの就職エージェント
大学中退の引きこもり・ニートにおすすめの公的就職支援
民間企業が運営する就職エージェントの他に、公的な就職支援の中にも大学中退者や引きこもり・ニートにおすすめの機関があります。
引きこもりが社会問題として認識されるようになった昨今では、厚生労働省が主体となって引きこもり・ニートの方の社会復帰を支援する取り組みが進められてきました。
ハローワークには足を運びにくいという場合、以下で紹介する公的な就職支援機関を利用してみてはいかがでしょうか?
わかものハローワーク
おおむね35歳未満の若年層の方を対象に、通常のハローワークよりも綿密な就職支援を展開しているのが、わかものハローワークです。担当の相談員とマンツーマンで、正社員就職に向けたプランを作成して希望条件や希望職種についてのヒアリングを進めていきます。
就職経験がない方に特化したサービスがあり、職歴がない場合の履歴書の書き方や面接対策などを実施しています。その他にも、コミュニケーション講座やパソコン基礎、働く時のストレス対策など、就職のためのスキルアップや就職後に必要となる知識を学べるセミナーを開催しています。
⇒わかものハローワーク|厚生労働省
⇒はじめてのヤングハローワーク利用!通常のハローワークとの違いを解説
地域若者サポートステーション(サポステ)
地域若者サポートステーションとは、15歳~49歳までの方を対象に働くことに対するあらゆる不安や悩みを解決しながら、就職活動の準備を行う場所です。職業相談や職場体験、スキルアップのためのセミナーなどのサポートを受けられますが、求人の紹介は行っていない点に注意が必要です。
中でも、目指したい業界や自分に向いている仕事がわからないという方は、キャリアインサイトという職業適性検査を受けることがおすすめです。その結果を踏まえて担当の相談員からのフィードバックが受けられるため、就職活動の方向性を決める際に役立ちます。
地域若者サポートステーションでの支援内容は、若者ハローワークなどの求人紹介を行っている機関と共有して、就職活動を引き継いでいく流れになります。
まとめ|大学中退の引きこもり・ニートもまだ人生終了じゃない
- 大学中退の引きこもりは、最終学歴が高卒として扱われることや、空白期間について面接で問われること等が理由で、就活において不利になりやすい
- 大学中退の引きこもりが就職するには、志望する業界を明確にすることや、中途採用の求人が増えるタイミングを見計らうことがポイント。資格を取得することも有効
- 就職活動の手順がわからない場合は、ひとりで就職活動をせずに就職エージェントや公的な就職支援を利用するのがおすすめ
- 「UZUZ」「ハタラクティブ」「DYM就職」など大学中退者や引きこもり・ニートの方の支援に強い就職エージェントが存在する
- 「わかものハローワーク」「地域若者サポートステーション」など、公的な就職支援にも引きこもり・ニートの方に強い機関がある
大学中退者や引きこもり・ニートから社会復帰を目指す場合に大切なのは、ひとりで就職活動をしないことです。
就職のプロの目線でアドバイスやフィードバックを貰いながら就職活動をすることで、希望する企業との内定にも結び付きやすくなります。
しかし、それでも就職活動に失敗してしまう場合がありますが、こちらも復帰することは可能です。以下の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもあわせてお読みください。